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Freeの映画の感想を書こうと思ったが、きちんと書くにはかなりの時間が必要ということで潔く諦めることにする。ただ、本当に大切なことは心から消えることはないという考えもある。

実際、ここのシーンがよかったとか映像が音楽がよかったとか、挙げればあるものの、何だかそれは雲を掴もうとするかのように手応えを感じないのだ。語彙力がないといえばそれまでだが、一つを褒めようとするならばその経緯や伏線などにも触れることになり、結果的に約10年間という時間の高い密度と向き合うことになってしまう。映画自体が良かったのは言うまでもないが、積み重ねてきた時間や関係性が集約されており、手をつけるには一冊の本を書くくらいの覚悟が必要だと感じる。

一つ話を挙げるとすれば渚だ。

嘘をついても仕方ないので単刀直入に言えば明らかに代永さんは本調子ではなかった。声を聞くたびに我に返らざるを得なかった。じゃあキャストを変えて欲しかったのかと聞かれるとそうも思わない。例え声が出ずとも、渚がここぞというセリフを発する時は声の不調すらも踏み台にするような強い想いを感じた。渚が仲間を想う心、代永さんが渚を大切に想う心、そのどちらも自分には確かに響いた。

色々とトラブルを抱えてきた作品だがそれは中のキャラクター達も同じだ。それを乗り越え、一つの集大成を見ることができたのは本当に感慨深い。ありがとうございます。